「当たり前」のありがたみ
半年もの入院となると病院での生活リズムがめっきり体に染みついた。
毎夜数回はトイレに目覚め、起床後は「あ、体重を測らないと…」と自然に思う。
朝食を食べたあとに検温がないというのが違和感にさえ感じる。
退院後の生活、ぎこちなく”普通”を取り戻していく自分の感覚が可笑しく、ただそれが
入院生活から解放されたことを実感できる瞬間でもあった。
温かいご飯が食べられる喜び。好きなときにテレビを観て、好きなときにお菓子を食べ
コーヒーを飲む。何気ないその1つ1つが苦しい闘病中には味わえなかった事だ。
お風呂だってそう。治療で寝たきりの時は清拭がほとんどだった。
毎日お風呂に入れる「普通」や「当たり前」の生活がこれほど嬉しいものとは。。。
綺麗事かもしれないが何をするにも健康だからできるのであって、それに勝るものはないと思う。
約半年、この「当たり前」を離れた生活があったからこそそのありがたみ、大切さ、喜
びを改めて実感することができた。
1日1日が生きている喜びを感じる、そんな大事な感情に出会えたのも病気の経験を通
して学んだことである。